【保存版】保護猫初心者の健康管理と病気サインの気づき方｜獣医師に聞いたチェックポイントまとめ

「かわいい」だけじゃない、命を守る第一歩

保護猫との暮らしは、喜びと発見の連続です。
一方で、初めて迎えた日から

• 「この子は幸せかな？」
• 「ちゃんと信頼してくれているかな？」

と、胸の奥で小さな不安が芽生えるのも、とても自然なことです。

特に保護猫は、野外や多頭飼育など、過酷な環境を経験している場合も多く、健康チェックが新しい生活の大切な出発点になります。
言葉を話さない猫たちの気持ちをどう受け止めればいいのか、迷ってしまうこともあるかもしれません。

そんな時こそ、焦らず「猫のサイン」に耳を澄ませてみてください。
ほんの小さなしぐさや表情の中に、「安心している証拠」や「助けを求める声」がそっと隠れていることがあります。

この記事では、保護猫と心を通わせながら穏やかに暮らしていくために、筆者自身の経験や獣医師から聞いた知恵を交えつつ、猫が見せる本当のサインを分かりやすくお伝えします。
読み終えるころには、今より少し不安がやわらいで「この子となら大丈夫かもしれない」と感じていただけたらうれしいです。

保護猫を迎えたら最初に行う健康チェック

この章では、お迎え後にお互い快適に過ごすための健康チェックについてお伝えします。

外見のチェックで「今の状態」を知る

まず最初に行いたいのは、猫の「全身観察」です。
目や鼻の分泌物、耳の汚れ、毛並みのツヤなど、外見から体調のヒントを得ることができます。特に、目や鼻の異常な分泌は「猫風邪」などの感染症のサインになっている可能性もあります。

• 目のまわりの赤みや腫れがある
• 涙や鼻水が続いている
• 毛並みがボサボサしている

こうした様子が見られた場合は、軽いかな？と思っても自己判断で様子を見すぎず、早めに動物病院へ相談してみると安心です。
早めに気づいて受診することで、猫が長く元気に暮らすための助けになることがあります。

いつもよりぐったりと寝転がっていることが多く、この後、鼻がフガフガ音を立てていました。

食欲と排泄の観察で「体のリズム」をつかむ

保護猫は新しい環境に慣れるまで、食欲や排泄が安定しないことがあります。
とはいえ、そうした不調が数日以上続く場合は注意したいサインになることもあります。

• 食欲不振が3日以上続く
• 下痢・便秘が2日以上続く
• 尿が出ない・血尿がある

猫は不調を隠すことが多い動物だと言われています。
そのため、「あれ？いつもと少し違うかも」という小さな違和感に気づけるかどうかが、健康維持の大きなヒントになります。

もし食欲が落ちた場合は、

• 好物のフードを少量だけ与えてみる
• 食器を静かな場所に移動させる

など、ストレスを減らす工夫をしてみてください。
それでも心配な様子が続くときは、早めに獣医師に相談しておくと安心です。

行動・鳴き方の変化を見逃さない

環境の変化に敏感な保護猫は、ストレスを感じると行動に変化が現れることがあります。
極端に動かない、鳴き続ける、隅に隠れて出てこないといった行動は、体調や心の不調のサインになっている可能性もあります。

同じような行動が3日以上続く場合は、「性格かな？」と決めつけず、体のSOSかもしれないと一度立ち止まって考えてみると安心です。
観察ノートやスマホのメモに行動の変化を記録しておくと、通院時に獣医師へ状況を説明しやすくなります。

「まだ元気だから大丈夫？」保護猫に初診・定期診察が大切な理由

「まだ元気だから大丈夫？」と思っていても、猫風邪なのか感染症や寄生虫などなのか、飼い主さんにとっては判断がつきにくいものです。もともと持っている持病かそうでないか、といった点でも獣医さんに診てもらっておくことで今後の安心材料が増やせます。

ワクチンと予防医療で意識したい「見えないリスク」

保護猫の多くは、ワクチン歴がはっきりしない状態で引き取られることがあります。
そのため、初回診察ではワクチン接種の有無と、今後の予防計画について獣医師と相談しておくと安心です。

一般的には、基本的な予防として「3種混合ワクチン（猫ヘルペス、カリシ、パルボ）」の接種が推奨されることが多いと言われています。
感染症は、発症してからの治療よりも、事前の予防を心がけることでリスクを減らせる可能性があります。

感染症・寄生虫チェックで暮らしの安心を守る

野外生活の経験がある猫は、寄生虫や感染症を持っている可能性が高いと言われています。
そのため、初診時には便検査・血液検査を行い、猫エイズ（FIV）や猫白血病（FeLV）の有無について相談しておくと安心です。

一部の調査では、保護猫の約15％が何らかの感染症を持っていたという報告もあります。
感染症は見た目だけでは判断できないことが多いため、検査をしておくことが「安心して暮らすための第一歩」になります。

避妊・去勢で将来の健康と暮らしを整える

避妊・去勢手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、一部の病気のリスクを減らす可能性がある医療的ケアとされています。

• メス猫：子宮・卵巣の疾患や乳腺のトラブルを予防できる可能性
• オス猫：マーキングや攻撃行動が落ち着く場合がある

手術時期は、生後6〜8か月頃が目安とされることが多いです。
ただし、体格や体調によって適切なタイミングが変わることもあるため、初診時に獣医師へ相談しておくと安心です。

エリザベスカラーはすぐ外してしまいそうだったため、病後服にしました。 都合で手術が少し遅くなり、かなりつらそうに見えたので、「もう少し若いうちのほうが負担が少なかったかもしれない」と感じました。

筆者が学んだ“気づく力”｜猫がくれる小さなサインを見逃さないために

保護猫と暮らすようになって気づいたのは、「猫は言葉で助けを求めない」ということでした。
にゃタゾノも最初の頃は、ただ静かに部屋の隅で丸まっていることが多く、「疲れているのかな？」と軽く考えていました。

しかし数日後には、少しずつ食欲が落ちて、毛づやも悪くなってきて、そこでようやく「おかしいかもしれない」と気づいたのです。
後で獣医さんに相談すると、「猫は不調を隠す動物なので、気づいた時には症状が進んでいることもある」と教えてもらいました。

猫が発する「サイン」はとても繊細です。たとえば、

• お気に入りの場所にこもる時間が増える
• まばたきが少なくなる
• トイレの回数やニオイが変わる
• 鳴き声のトーンがいつもと違う

といった、ほんの少しの変化にこそ、大切なメッセージが隠れているのだと感じています。

にゃタゾノの場合は、

• 「ごはんのあとにすぐ寝る」
• 「遊びに誘っても反応しない」

という、いつもと違う静けさがサインでした。
すぐに病院で検査を受けたおかげで、大事には至りませんでした。
あの時の経験から、「日々の観察こそが最大の予防医療かもしれない」と、今では強く感じています。

私たち飼い主ができる、いちばんやさしいケアは「見守る」こと。
それは、ただ眺めるのではなく、「昨日との違い」をそっと感じ取ることだと思います。

そして、小さな異変に気づいたら、「大げさかな」と自分を責めずに、まずは獣医さんに相談してみてください。
猫がくれるサインは、いつも「信頼の証」です。あなたを信じているからこそ、そっと見せてくれる――そのことを、にゃタゾノは教えてくれました。

よくある病気とサインの見極め方

軽い症状に見えても、自己判断で長く様子を見るのはリスクになることがあります。
様子を見ても大丈夫かどうか迷ったときは、早めに動物病院へ相談してみると安心です。

性格タイプ別・注意サイン早見表

この表はあくまで「目安」です。
「うちの子はどのタイプかな？」と考えながら、いつもの様子との違いに気づくきっかけにしてもらえたらうれしいです。

まとめ｜健康チェックは「愛情の習慣」

保護猫との暮らしは、日々の小さな観察から始まります。
外見・食欲・排泄・行動という4つのチェックを少しずつ習慣にしていけると、とても心強いです。
初診では、ワクチンや感染症検査について獣医師と相談しながら、無理のないペースで進めていきましょう。

小さな変化を見逃さず、必要に応じて病院へ連れていくことは、猫の健康を守るうえで大きな助けになります。
そして何よりも、こうした健康チェックを通じて猫との「信頼の絆」を深めていくことが、ふたりの幸せにつながっていくのではないかと思います。

🐾今日から始める小さな一歩が、猫の一生をそっと支える大きな愛情になります。

出典・参考

• 日本獣医師会「猫のワクチン接種ガイドライン」
• アニコム損害保険株式会社「家庭動物白書」
• ねこのきもち（ベネッセ）公式サイト
• 日本動物愛護協会「保護猫のケアについて」
• どうぶつ基金「不妊去勢手術と健康管理」

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