保護猫と暮らし始めたばかりの初心者さんが最初につまずくポイントの一つが、「室温管理」ではないでしょうか。私もはじめてのお迎えしたときには「この温度で大丈夫?」とエアコンのリモコンを握り締める毎日でした。
人間は暑くても大量の汗をかいたり寒かったら洋服を重ね着することができますが、そもそも猫や犬は毛むくじゃらで、気温の変化にどのように調節している構造なのかわかりませんでした。
書籍などを調べてみると、猫はもともと砂漠の生き物ですが、現代日本の夏と冬はさすがに過酷とのこと。特に保護猫は環境変化によるストレスが大きく、体調管理がより重要です。
本記事では、専門家監修の信頼できる情報をもとに、保護猫に最適な室温の設定から、熱中症・低体温症対策の実践アイディアまで徹底解説し耳寄りな知恵をお届けします!
1. 保護猫にとって室温管理がなぜ重要か、夏と冬のリスクを簡単に紹介
猫は人間より体温が高く、平均で38〜39℃程度あります。ところが、この体温の高さゆえに、暑さも寒さも実は苦手なのだそう。「快適温度帯(中性温域)」が意外と狭く、22〜28℃の範囲で過ごすのが理想です。
特に新しく家にやってきた保護猫は、生活環境の激変や過去のストレスで体温調整が苦手だったり、持病・年齢・毛質によってリスクが高まったりします。
【夏】は高温多湿・日本独特のムシムシ気候で熱中症になりやすい。
【冬】乾燥した冷え込みで低体温症・膀胱炎・関節炎などのリスクも上昇
どちらも、本人からつらいせつないという言葉が出ることもなく、我慢強い、というか弱音をはかずギリギリまで我慢するのが「猫あるある」。
このため、症状を見つけるのが遅くなってしまうことも少なくありません。だからこそ、飼い主側の知恵と工夫が命を守る大切なポイントなのです。
では具体的に、どんな症状・対策・工夫をすればよいのか?次章から詳しく見ていきましょう。

エアコンの効いている棚上で熟睡
2. 夏の室温管理と熱中症対策
2-1. 猫が熱中症になる理由と症状
猫は汗腺が体のごく一部(主に肉球や鼻)にしかなく、人間のように全身から汗をかいて体温を逃がすことができません。そのうえ、犬のようにパンティング(舌を出してハアハア息をする)も苦手。つまり外気温の影響を受けやすく、高温多湿の室内では、あっという間に体温過剰となり熱中症を起こしてしまいます。
熱中症の主な症状は以下の通りです:
- 初期:呼吸が早い(ハアハア)、よだれ、食欲不振、元気がない
- 中期:口を開けて呼吸、体温が40℃前後・舌や口の粘膜の紅色化、嘔吐・下痢・脱水、ふらつき
- 重度:けいれん、意識がもうろう、チアノーゼ(舌や歯茎が紫色)、動けない・ぐったり
猫は体調不良をギリギリまで隠す動物なので、症状が見えた時点で既に重篤化している場合も。「ちょっと息が荒い…?」と思ったら即行動!となります。
2-2. 適切な室温と湿度の目安
夏場の猫の適温は26〜28℃で、湿度は50〜60%が理想。ただし、気を付けたいのは「エアコンの設定温度=実際の床付近の温度」ではないこと。猫がいる床近くは冷気が滞留しやすかったり、逆に夏の直射日光で局所的に暑くなっていたりします。ペット用の温度計・湿度計を猫の目線の高さに置いてチェックしましょう。
湿度が高すぎる(70%以上)と、体から熱が逃げにくくなり、エアコンを入れても熱中症リスクがぐんと高まります。逆に40%未満になると皮膚や鼻の乾燥・呼吸器トラブルのリスクも。「暑いのは我慢できます。湿度はNG!」が猫の本音です。
2-3. 夏の室温管理の工夫と便利グッズ
暑い季節の保護猫室温管理には、設備と小ワザをフル活用!
- エアコン:26~28℃で弱冷房運転。可能ならタイマーより連続運転(急な温度変化を避ける)
- サーキュレーターや扇風機:部屋全体の空気を循環させて温度ムラ回避 ※猫に直風が当たらないよう工夫
- 遮光カーテン・すだれ:直射日光による室温上昇防止。外窓に遮熱フィルムを貼るのも◎
- 複数の水飲み場:新鮮な水を部屋ごとに設置。自動給水器・循環型ウォーターファウンテンなら清潔&省手間
- 冷感グッズ:アルミプレート、大理石マット、ひんやりベッドやクールマット=猫が自由に選べるよう複数設置するのがコツ
- ブラッシング・換毛サポート:夏毛への衣替えを助けるブラッシングは体感温度に大きな差
- 猫が自由に部屋移動できる環境:ドアストッパー設置やペットドアで好きな温度の場所を選べるように
夏のおすすめ便利グッズの一例(2025年版):
- アイリスオーヤマ「ペット用クールソファベッド」
- 高純度アルミのひんやり猫鍋
- 大理石クールマット
- ニトリ「Nクールペットベッド」
- 自動給水器
- 遮熱効果カーテン・猫窓ハウス
猫はそれぞれ「俺は冷たい床派」「いや、アルミでお腹出し派」など好みが違います。複数グッズを置いて観察すると“推しグッズ”が見えてくるはずです。
3. 冬の室温管理と寒さ対策
3-1. 猫が寒さに弱い理由と低体温症のリスク
「猫は毛皮を着てるから寒さに強い」と思いがちですが、もともとリビアヤマネコなど砂漠地帯出身の猫は寒さが大の苦手。体脂肪が少なく、被毛の厚さも種類や年齢で差が大きい。シニア猫や子猫は特に筋肉量・皮下脂肪が少なくて体温を保ちにくいのです。
室温が18℃以下になると、体温低下や低体温症、風邪、膀胱炎、関節痛などが起きやすくなります。また寒いトイレを嫌って排尿我慢→膀胱炎・尿結石という流れも冬猫の典型的なリスク。猫は「寒さSOS」を口にしないので、寒そうに丸くなっている・毛を逆立てる・膝に乗る・震えるなどのサインを見逃さない観察力が大切です。

寒いのかしら?
3-2. 冬の適温と暖房の使い方
冬場の理想的な室温は20~23℃・湿度は50~60%が基本。子猫やシニア猫、短毛種・無毛種は22~28℃と高めの設定が安心です。エアコンは足元(床)まで暖かいよう風向きを下向きに。エアコンは火災ややけどのリスクが低く、ペットの安全対策としても優れている器具。さらに、部屋全体を一律に温めず、猫が選べる「ぬくぬくゾーン」と「ちょっと涼しいゾーン」を作ってあげるのが現代的な猫管理のコツです。
石油ストーブ・こたつ・ホットカーペット等を使う場合は、低温やけど/火災/脱水事故に要注意。こたつはペット専用品推奨で、人間用の場合は温度弱~中・こまめな様子見、湯たんぽはタオルでくるんで置くなど、直接肌に触れさせない・暑くなったら逃げられる環境が必須です。
また、冬は湿度が40%以下になると乾燥で皮膚トラブルや風邪リスクも。加湿器、洗濯物部屋干し、濡れタオルの活用で調整を。また、猫は冷たい水を嫌がりがちになり水分摂取量が減りがちなため、ぬるま湯・ウォーマー対応給水ボウルなどで工夫すると冬の膀胱炎対策に効果的です。
3-3. 保温グッズと安全な暖の取り方
主な保温グッズや工夫、事故防止までポイントをまとめます。
- ドーム型ベッド・猫ちぐら・毛布:底冷え&冷気防止に効果抜群。複数設置で猫が好きな場所を選べるように
- ホットカーペット・ペットヒーター:低温設定・半分だけ温めて「逃げスペース」確保。コードカバーや猫用耐噛み設計推奨
- ペット用湯たんぽ:お湯40℃程度、タオル等でカバーしても必ず猫の様子確認。レンジ加熱タイプなども人気
- 猫用こたつ:ペット専用(低温/コードカバー/自動オフ)。人間用は温度・時間・様子見に注意
- 服(防寒着):特にスフィンクスなど無毛猫、高齢・病後猫には動きを妨げない防寒服も有効
- 断熱カーテン・のれん:冷気遮断と暖房効率アップ、猫の出入りも自由
- 猫のために暖かい寝床・居場所を複数作る、窓際には昼だけで夜は移動等も工夫
どのグッズ・暖房器具も「長時間の留守番時」「夜間」は特に事故・やけど・熱中症に注意して定期的なチェックを忘れずに!
4. 年齢・体調・性格別の室温配慮ポイント
4-1. 子猫・シニア猫の場合
子猫は体温調節が極端に苦手で、自力で熱を作ったり逃がしたりできません。
生後1週間未満→室温30℃前後、
生後1週〜2週→27℃、
生後3週以降→25℃が目安。
ドーム型ベッドで巣のような空間+湯たんぽやペット用ヒーターで、24時間一定温度を保つ工夫が必要です。加湿にも注意(湿度55〜60%)で乾燥を避ける、暖房器具を使うときは「必ず逃げ場をつくる」のが事故防止のコツ。
シニア猫は筋力・皮下脂肪の減少、代謝の低下により、成猫以上に寒がりとなり、関節痛・内臓負担も増えやすいのだそう。室温は成猫より高め25〜28℃程度+毛布やヒーターで補強。寝床の段差に配慮し、ベッドの高さは低く・乗り降りしやすいスロープ設置もおすすめです。トイレと水飲み場を近くに設けて、寒さで活動量が下がっても体調維持できる工夫も大切のようです。
4-2. 持病のある猫や短毛・長毛の違い
慢性疾患持ちや療養中の猫は、基本的に子猫・シニア同様、やや高めの室温と安定的な温度維持が望ましい。体調に合わせて動物病院と温度設定を相談し、「暑さ寒さに合わせて早め早めの室温調整」を心がけましょう。
長毛種は夏の暑さに特に弱いため、夏場は22〜26℃の低め温度やブラッシング・通気対策を重点的に。冬は26℃前後でもOKですが、保温しすぎに注意。サマーカットはストレスになる場合もあるので、獣医・トリマーと相談を。
短毛種・無毛種は冬の寒さに弱く、22〜28℃が目安。服や寝床、ヒーターなどを活用し「ぬくもりブースター」を設けてください。
4-3. 警戒心が強い保護猫への配慮
保護したばかりの猫や、野良経験が長い猫は環境変化に強い警戒心を持っています。大きな音・派手な動き・急な温度や光の変化は強いストレスになりがち。そんな猫には次のような環境設計が有効です:
- 静かで落ち着ける個室・ケージからスタートし、人目や生活音・直射日光・冷暖房の直撃を避ける
- ケージや寝床に毛布や布をかけて半洞窟空間にし、「安心とぬくもり」を強調
- 温度管理はなるべく一定(エアコンやオイルヒーターがおすすめ)、エアコンの風を直接当てない
- 環境と人になじんできたら徐々に温湿度“選べるゾーン”を拡張(逃げ道も残す)
「焦らず、本人が“ここは安全だ”と思えるまで待つ」「定期的な換気や湿度管理も並行して」など、心身両面の快適さを目指しましょう。
5. 体験談:筆者が保護猫と暮らして感じた室温管理の大切さ
主が全く知識がなくお迎え直前になって、子猫の育て方という書籍を1冊猛スピードで読み込み、勉強したのでした。
この時に猫の体温は高いことなどを学んだのですが、困ったことに我が家は夏は扇風機が主流でにゃタゾノが来たことで外出した時にはつけっぱなしとなり、電気代に目玉が飛び出ました。また、外出時に停電したらどうしよう、、、という不安もあり、外出を控えるようになりました。
冬は逆に、「電気代節約しなきゃ」と暖房をケチる作戦で、こたつと電気カーペットを導入。室温は低めでも電気カーペットでぬくぬくしていて、こたつの中もあたたかいので主が心地よくて。。。
「猫はこたつで丸くなる~♪」という歌のつもりでこたつを準備したのですが、にゃタゾノはこたつの中でまるくなることはさほどなく、自身で気温を察知し居場所を変えて、その時々の居心地のよい場所のために部屋中を探検してまわります。
「環境が与えるストレス」や「室温のちょっとしたズレ」は、猫の体調にも大きく影響するようです。それだけセンシティブな生き物なのですね。
今では、エアコンはほとんどつけっぱなし。我が家の必要経費です。
新たな保護猫を迎えたばかりの初心者さんも、遠慮せず躊躇せず、「猫目線」で室温と湿度を守りましょう。愛情と観察力があれば失敗しても必ずリカバリーできます!
6. まとめ:保護猫の室温管理の基本と季節ごとの注意点
保護猫の室温管理は命に直結するライフラインとなります。
【夏】
熱中症回避には26〜28℃・湿度50〜60%を心がけましょう。
✅「新鮮な水・柔軟なクールグッズ・逃げ場」
✅「湿度コントロール」
✅「エアコン+サーキュレーターのバランス」で熱中症予防。
【冬】
冬場の低体温および体調トラブル予防には20〜23℃(子猫/シニアは22〜28℃)・湿度40〜60%を心がけましょう。
✅「安全な暖房器具」
✅「毛布・湯たんぽやこたつ型ハウス・断熱カーテン」
✅「加湿器」
✅「あったかい場所を複数設置」
寒さと乾燥・膀胱炎等を予防。
年齢・体質・持病・性格による配慮を徹底し、何より愛猫の様子をよく観察する習慣を大切にしてください。警戒心の強い保護猫への配慮は「安心できる静かな環境から」始め、徐々に「快適ゾーン」を広げていきましょう。
猫との暮らしは日々勉強の連続ですが、正しい知識とちょっとした工夫で、保護猫も初心者もストレスフリーな毎日を過ごせます。エアコン代・加湿器代・グッズ代も「猫の命と安心」のためなら最強のコスパ!室温管理、今日からアップデートしましょう。
ご質問・ご感想や「うちの猫この室温でも大丈夫?」などあれば、コメントお待ちしています。保護猫ライフがより快適に、健やかになりますように!


コメント