保護猫と暮らすために「家を安全地帯」に変える
保護猫を迎えて最初の1週間、私は「家中の危険」と毎日向き合いました。
普段は気づかないコードや観葉植物の配置、わずかな隙間まで、すべてが猫にとっての“冒険の舞台”だったのです。
普段何気なく過ごしている家の中が、猫にとっては危険な場所だらけだということに気づきました。にゃタゾノがキッチンの隙間に頭を突っ込んで抜けなくなったときは、冷や汗が出ました。
保護猫、特に野良猫出身の子は、室内飼いの環境に慣れておらず、好奇心旺盛で、狭い場所に入りたがったり、高い所が大好きだったりします。そんな彼らを事故から守るためには、家全体を「猫目線」で見直す必要があります。
この記事では、保護猫を迎える前に必ず確認したい室内の安全対策について、10項目に分けて詳しく解説します。どれも初心者でも今日からできるものばかりです。愛猫を危険から守るために、ぜひ実践してください。
火と刃物から守る:キッチンは猫にとって最も危険な場所
1-1.コンロと調理器具の管理
キッチンは猫にとって「最大のリスクゾーン」です。
火、刃物、熱湯、そして調理中の匂いに誘われて、思わぬ事故が起きやすい場所です。
猫の本能を理解しながら、「人間の便利さ」よりも「安全」を優先する習慣を身につけましょう。
対策としては、
- 使わないときはコンロのスイッチカバーをつける、
- 調理中は猫をキッチンに入れない、
- 包丁はすぐに片付ける
などの習慣をつけましょう。
にゃタゾノは、コンロの上のフライパンに興味津々でさわろうと、あやうく火傷するところでした。また、調理後の洗う前の鍋にこっそり顔を近づけたようでか、猫のヒゲがサンジの眉毛のように「くるん!」とカールしていました。
それ以来、調理中は目を離さず、「これはあちちだよ!」と大きめの声で危険を知らせるようにしています。
「猫は熱いものに興味を持つ」ということを肝に銘じておきましょう。

調理中の危険を避けるために用意した専用の場所で、料理監督中
1-2.冷蔵庫と収納スペース
冷蔵庫の開閉時に猫が中に入り込む、食器棚から飛び降りて食器を割るなどの事故も多いと聞きます。冷蔵庫を開ける前は必ず猫の居場所を確認し、食器棚や収納棚にはストッパーをつけて、猫が開けられないようにしましょう。
小さな隙間が大好きな猫は、冷蔵庫の裏や食器棚の間などの狭い空間にも入りたがります。にゃタゾノが冷蔵庫の裏に入りそうになった際にはあわてて「だめ~!」と隙間に物を詰めました。
猫はほこりなどおかまいなしで、どこにも入っていきます。
1-3.生ゴミと食品の管理
玉ねぎやチョコレートなど、猫にとって有毒な食品を誤って食べないよう、生ゴミは蓋付きの容器に、食品は猫が開けられない戸棚などに保管しましょう。特に玉ねぎやチョコレート(カカオ製品)は少量でも危険なので、調理くずや粉もすぐに処分することが大切です。
「人間の食べ物は猫に与えない」という基本を守ることも重要です。にゃタゾノがテーブルの上の食品のニオイを嗅いでいたときは、はっとしました。それ以来、食事の準備中と食事中は特に注意深く見守るようにしています。
家の中心「リビング」こそ要注意:噛みぐせ・転倒・誤飲の3大リスク
2.コード類の保護
コードは「静かな凶器」です。
噛んで感電した猫の事故は実際に多く報告されています。
市販のコードカバーやケーブルボックスで「遊び道具」を「安全空間」に変えましょう。
使わないコードはコンセントから抜き、まとめておきましょう。
コードを噛む癖があると、とても危険です。コードが使えなくなるだけではありません。コードカバーをつけるなどすれば事故は激減させることができます。

狭い空間でも入っていくので危険💦です
3.観葉植物の危険性
ユリ科の植物は猫にとって猛毒です。また、ポトスやディフェンバキアなど、一般的な観葉植物でも中毒を起こすものがあります。猫を飼うなら、植物はすべて猫に安全なものに替えるか、猫が届かない場所に移動させましょう。
私は猫を迎える前に、ニンジンやカイワレダイコンなどを観葉植物の代わりに育てていましたが、調べて危険ではないレタスなどに変更しました。また、猫草を栽培すると、にゃタゾノは大喜びで、しゃくしゃくと音を立てながら食べます。今では専用の猫草が彼女のお気に入りです。

観葉植物の代わりに猫草:しゃくしゃくと音を立てて食べます
4.家具の転倒防止
猫は高い所が大好きで、本棚やタンスの上によく登ります。地震やバランスを崩したときの転倒を防ぐため、背の高い家具はすべて壁に固定しましょう。テレビやオーディオ機器も転倒防止対策が必要です。120cmくらいの高さだと猫は駆け上がれます。
日本は地震も多いので、大きな食器棚は処分しました。おかげで室内もスッキリしました。また、家中の大きな家具には地震対策の防振マットを敷いたりしました。
「猫の運動能力は思っている以上」で、人間で考えたら3階建ての建物からひょいっと降りたり、登ったり、また隣のビルへ飛び移ったりするくらいのことができることを考え、キャットタワーは天井とつっぱれるものにしました。
水場の落とし穴:浴室・トイレで起こりうる3つのヒヤリ体験
5.水の危険
浴槽や洗面器に「少しの水」が残っているだけでも、子猫にとっては命取りになります。
「水は抜く」「蓋を閉める」「ドアを閉める」という3つのステップを習慣にすれば、多くの事故を防止できます。
流れる水が好きな猫もあり、トイレの水を飲もうとすることもあります。猫の姿がみえなくても蓋は必ず閉めましょう。
6.洗剤類の保管
洗濯洗剤、漂白剤、浴室用洗剤などはすべて、猫の手の届かない場所に保管しましょう。危険で見落としがちなのはキッチンシンクにある食器用洗剤や、洗面所にあるソープ類かもしれません。シンクにすのこのような水切りのフタを施すことで誤飲がふせげます。くるくると丸めればシンクの作業ができます。

洗剤やスポンジをフタの下に置くことで、なめられません
また、収納扉にはチャイルドロックをつけると効果的です。猫は洗濯機に入りたがるので、洗濯機や乾燥機の使用前には、中に猫が入り込んでいないか必ず確認しましょう。
洗濯機の中が猫のお気に入りの場所にならないよう、使用後はすぐに扉を閉める習慣をつけるとよいでしょう。
「猫は狭くて暗い場所が好き」という習性を忘れずに。
7.小さな隙間の対策
浴室の収納や洗面台下の隙間、換気扇のダクトなど、猫が入り込みそうな小さな隙間はすべて塞ぎましょう。特に換気扇のダクトは外に通じている場合があり、脱走の原因になります。
子猫はほんのわずか数cmの、大人では手が届かない場所に入りこんでしまうこともありますので、家中の隙間をネットや段ボールで塞ぐ、ということもされるとよいでしょう。
窓・ベランダ・カーテンコード:脱走・落下・首吊りを防ぐために
8.網戸の補強
通常の網戸は、猫の鋭い爪であっという間に破られます。
「ペット用強化ネット」や「二重ロック付き網戸」に替えるだけで、脱走リスクはほぼゼロになります。
賃貸でも使える「はがせる補強タイプ」もおすすめです。窓枠と網戸の隙間から脱走する事故も多いので、隙間テープで塞ぎましょう。
また、網戸を爪で大きな穴をあけたり、切り裂いて脱走を試みることがあります。補強ネットなどでふさいでおくとよいですね。「網戸は猫の登り棒」になる、という認識も大切です。
9.ベランダの防護
ベランダには高い所からの落下や隣のベランダへの移動による脱走の危険があります。ネットを張る場合は、天井まで覆う完全防備が理想的です。手すりからの転落防止にもなります。
ただし、賃貸の場合や地域での決まり事もあるので、管理会社などに確認するとよいでしょう。ベランダからの落下は大事故につながる恐れがあるので、十分な注意が必要です。
10.カーテンコードの事故防止
カーテンの開閉用コードで首が絞まる事故が実際に起きています。コードは短く切るか、巻き取り式のものに替え、猫の届かない位置に固定しましょう。
カーテンコードは猫のおもちゃに見えるようで、じゃれたくなるようです。
体験談:にゃタゾノが教えてくれた「家の危険」と「守る工夫」
子猫の時は手のひらに乗るくらい小さくて、そのおかげで狭い隙間も掃除をするようになり清潔に保てていますが、大きくなっても狭くて暗いところは本能的に落ち着くせいか、袋の中や布団の中に隠れていて、うっかり腰掛けようとして「ぷきゃ!」という変な声を出し、踏んでしまいそうな危険な経験もありました。
また、にゃタゾノは食べ物のニオイを必ず嗅いでいますが、シーチキンにはニオイを嗅ぐだけではなくなめることもあります。高カロリー高脂肪なので注意が必要です。
お迎えして間もないある朝、家族がドアを開けた瞬間、にゃタゾノは“風のような速さ”で外へ飛び出しました。
「まさかこの子が…」と思ったその瞬間、私は初めて「脱走防止の重要性を痛感しました。
この体験が、今の我が家の安全対策の原点になっています。
いずれも大事には至りませんでしたが、世話をする側も年をとってくれば、身体が思うように動かないこともありますので、危険は排除するよう特に気をつけるに越したことはないと思います。そして、それを習慣化することが大切ということを学びました。
このことから、行動の一つ一つや、住まいのあちこちが猫にとっても安全なのかどうかを再確認するようにしています。
7. まとめ
保護猫の安全対策は、「猫目線」で家中を見渡すことから始まります。この記事で紹介した10項目を再度確認しておきましょう:
1. キッチンのコンロと調理器具の管理
2. コード類の保護と整理
3. 観葉植物の見直し
4. 家具の転倒防止
5. 水の危険の排除
6. 洗剤類の安全な保管
7. 小さな隙間の封鎖
8. 網戸の補強
9. ベランダの完全防護
10. カーテンコードの安全対策
にゃタゾノとの暮らしでわかったのは、猫の好奇心は“止める”ものではなく、“守る”ものだということ。
猫が安心して冒険できる家を作ること——それこそが、飼い主の愛のかたちだと思います。
あなたも愛猫のために、今日からできる安全対策を始めてみませんか?


コメント