飼い主が知らない“猫の本能”を正しく理解する方法|行動学で読み解く7つのサイン

飼い主が知らない“猫の本能”を正しく理解する方法|行動学で読み解く7つのサイン 💕 保護猫との絆を育てる日々
猫の行動にはすべて意味があります。本記事では、猫が生まれ持つ“本能”と行動学の観点から、保護猫を迎えて、なぜこんなことをするの?という7つのしぐさの理由を初心者さんにもわかりやすく解説します。
保護猫初心者のための7つの本能サイン

なぜ「猫の本能」を理解すると問題行動が激減するのか

保護猫・家庭猫に限らず、猫は野生時代の本能を色濃く残しています。攻撃・隠れる・甘える・走り回るなどの行動は、飼い主に反抗しているのではなく、本能に基づいた行動です。初心者が最初に誤解しやすい部分でもありますが、猫の本能を理解すると、ストレスを減らし、トラブルを未然に防ぐことができます。

動物行動学の研究では「猫の行動の80%以上は本能の延長」といわれています。本能を知ることは、信頼関係を築くための最初のステップです。

行動学で読み解く“猫の本能”7つのサイン

ここでは、初心者が特に誤解しやすい7つの行動を、行動学の観点からくわしく解説します。

① 高い場所に登りたがる|縄張り全体を見渡すための本能

猫が棚や冷蔵庫の上に上るのは「支配欲」ではありません。野生時代の猫は高所から周囲を観察し、外敵の存在を確認していました。家庭内でも安全確認の一環として機能しています。

初心者の場合、「悪いことをしている」と叱りがちですが、実際は安心を求める行動です。

② 夜に活発になる|“薄明薄暮性”による狩猟のリズム

猫は夜行性ではなく「薄明薄暮性」。朝夕の薄暗い時間にもっとも動く生き物です。夜中の運動会は本能によると「夕方に10分の遊び」で夜の騒ぎが約30%軽減すると指摘されています。

③ すり寄る・頭突きをする|愛情表現+“匂い付け”の本能

猫が体をこすりつけるのは「匂い付け」による縄張り行動。一方で、親しい相手にだけ行う“フレーミング行動”でもあり、愛情のサインでもあります。

④ 隠れる・押し入れに籠る|ストレス時の安全確保の本能

保護猫に多い行動で、見えない場所に身を置くことで安心を確保します。叱るべき行動ではなく、環境適応のために必要なステップです。

⑤ 物を落とす・探る|好奇心と狩猟本能の延長

猫は「動くもの」や「不安定なもの」を確認したくなる習性があります。机の上の物を落とすのも、獲物の動きを試す本能です。

⑥ トイレ後に走り回る|危険回避の本能(行動学で注目される習性)

排泄時は無防備になるため、野生では外敵に襲われやすい時間でした。その名残で、排泄後にテンションが上がり、急に走り回る猫が多いのです。

いわゆる、トイレハイ、や うんちんぐハイです。

⑦ 突然噛む・急に手に飛びつく|“本能の狩りスイッチ”が入った瞬間

甘噛みはコミュニケーションですが、手に飛びつくのは狩猟スイッチが入ったサインです。初心者が最も誤解しやすいポイントで、「しつけ不足」ではありません。

適切な対処として、専門家は「狩猟本能を満たす10分の遊び」を推奨しています。

本能を理解したうえでの“正しい接し方”と環境づくり

猫の本能は変えられるものではありません。しかし、「本能を満たす環境」を用意することで、問題行動を大幅に減らすことができます。

高所を確保する|キャットタワー・棚の安全配置

高い場所がないとストレスが増えるため、簡易棚やタワーで代用できます。保護猫は特に高所で安心します。

狩猟本能を満たす|1日2回の10分遊び

羽根じゃらしや紐タイプのオモチャを使い、狩りの流れに沿って遊ぶと満足度が高まります。

パニックを防ぐ|隠れ場所(セーフスペース)を必ず用意

押し入れ、ケージ、ブランケットにくるまれる箱など、暗くて狭い場所を複数作っておくと安心度が増します。

初心者が誤解しがちなNG行動

猫の本能を知らないと、つい逆効果な行動をしてしまうことがあります。

① 叱る・怒鳴る・音で驚かす

猫は理由を理解できず、飼い主を“危険な存在”と認識します。信頼回復には時間がかかります。

② 抱っこを無理強いする

猫の“自由行動”を奪うことになり、信頼を失います。猫から寄って来るまで待つのが鉄則です。

③ 隠れ場所を取り上げる

安心基地をなくすことは、猫にとって非常にストレスになります。

 体験談|我が家の「にゃタゾノ」で学んだ本能の大切さ

筆者の保護猫「にゃタゾノ」も、迎えた当初は押し入れに隠れ、朝方や夕方の忙しい時間帯に、走り回ったり、遊んでほしくてじゃれついてきたり、棚の上から「降りられな~い!おろしてよ~!」と呼んでくることもありました。

また、まだ子猫だと油断していたら発情し始め、切なく途切れなく叫ぶ発情の声に悩まされる、ということがありました。

猫の本能の理由を理解し、「隠れ場所」「高所」「遊び時間」「避妊・去勢の必要性」など、人間と異なる部分について理解し、環境や共生できる状態を整えたことで、行動は落ち着き、結果的ににゃタゾノ自体も家族も快適な状態になることができました。

本能を知ることで、猫との距離は確実に縮まります。

まとめ|本能を知ると“問題行動”は愛情表現に変わる

保護猫の行動は本能に基づくものであり、叱るべきことはほとんどありません。本能さえ理解すれば、猫の行動一つひとつが「安心」「甘え」「探求」といったポジティブなサインに見えるようになります。

初心者こそ、本能という“猫の言語”を学ぶことで、猫との暮らしが驚くほどスムーズになります。

参考文献・注意事項

  • 日本動物行動学会「猫の行動と心理」
  • アメリカ獣医行動学協会(AVSAB)監修資料
  • 個体差が大きいため、健康状態に不安がある場合は獣医師に相談しましょう。

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