1. 保護猫は普通の猫と違う?
保護猫を初めて迎えると、「この子は今まで何を食べていたんだろう?」「どんなごはんを選べばいいの?」と迷う方が多いと思います。
私も例外ではなく、最初に迎えたサバトラ柄の女の子“にゃタゾノ”との出会いは、戸惑いの連続でした。
保護直後は痩せ気味で、兄弟猫と一緒にレスキューされたばかり。
緊張と安心のはざまで、最初の数日は“食べたいけど警戒している”という複雑な様子でした。

保護されたてほやほやの時:兄?か弟?と一緒に。左側がにゃタゾノ
保護主さんが譲ってくださったフードをそのまま使い、1日の量を器に入れて様子を見ながら少しずつ調整。
最初は「好きなときに食べる」スタイルでもうまくいっていましたが、避妊手術後は食欲に変化が。
半年後には体重が1.5倍に増え、獣医さんに「成長というより食べすぎですね(笑)」と指摘される結果に。
この経験から、「保護猫の食事=愛情+観察力+調整力」が必要だと痛感しました。
本記事では、そんなリアルな体験を交えながら、
保護猫の食生活を整えるための7つのポイントを「年齢別」「体質別」に詳しく解説します。
初心者でも失敗しない、ごはん選びと与え方のコツを身につけて、
あなたの愛猫にも「食べる幸せ」を届けてください。
2. 保護猫の食生活を整えるための基本理解
2-1. 保護猫はどんな背景を持っているのか
保護猫と一口に言っても、その背景はさまざまです。
野良出身の子、ブリーダー崩壊からのレスキュー、多頭飼育崩壊から保護された子…。
それぞれの経験が「食」に対する反応は大きく左右されるようです。
保護猫は、過去の環境が食への姿勢に大きく影響します。
たとえば、野良出身の子は「食べられるうちに食べておこう」という本能が残り、フードを出すと一気に平らげる傾向があります。
一方で、多頭飼育崩壊などから保護された子は「食への不信感」が強く、においを嗅いだだけでプイッとそっぽを向くこともあります。
そのため、譲渡元に「これまでどんなフードを食べていたか」や健康状態を確認し、いきなり高級フードに変えないのが鉄則です。
胃腸が弱っている場合は、まずスープ状や子猫用ミルクなど“消化に優しい食事”から始めましょう。
2-2. 栄養バランスの基礎を理解しよう
猫は「完全肉食動物」。
そのため、人間のように穀物中心の食事では栄養が不足します。
猫に必要なのは、動物性たんぱく質と脂質、そして適切なビタミン・ミネラル。
猫は完全な肉食動物です。
穀物中心のフードでは、筋肉維持に必要なたんぱく質が不足してしまいます。
日本ペットフード協会(2024年)の報告では、保護猫の約6割が軽度の栄養バランスの偏りを抱えているとのこと。
そのため、「動物性たんぱく質が主原料」かどうかをチェックするのがポイントです。
パッケージでは「AAFCO基準」「総合栄養食」の表示を確認し、トウモロコシや小麦など穀物が最初に記載されているフードは控えめに。
“グレインフリー”という選択肢もありますが、アレルギーがなければ必ずしも避ける必要はありません。
にゃタゾノが最初に食べたフードの主原料には、
- 穀物(トウモロコシや米、小麦)
- 動物性たんぱく質(鶏肉、七面鳥、魚など)
- 動物性油脂
- ビタミン・ミネラル など
と記載がありました。

なんで穀物主体なんだ?
と不思議に思ったものです。
2-3. 初心者が避けたい3つの落とし穴
✖ 1. 「好きそうだから」と味重視でフードを頻繁に変える
✖ 2. 人間の食べ物(塩分・糖分・脂質が多いもの)を与える
✖ 3. 急なフード切り替えで消化不良を起こす
保護猫にとって、最も大切なのは「安心できる環境と一貫性」です。
新しい環境に慣れるまでは、フードもできるだけ同じものを続け、安定を優先しましょう。
3. 年齢別・体質別にみるおすすめフード選び
猫の年齢と性格によって理想のフードはまったく異なります。
以下のように「成長段階+体質別」で選ぶことで、健康を長く維持できます。
3-1. 子猫(~1歳)のごはん|成長期の土台を作る
成長スピードが最も早い時期。
高たんぱく・高カロリー・消化しやすいフードを選び、1日3〜4回に分けて与えます。
水分補給を兼ねてウェットタイプもおすすめ。
例)ロイヤルカナンキトン/ピュリナワン子猫用など
この時期の食事習慣が、将来の健康や食の好みに影響します。
「何を食べるか」よりも、「どう食べるか」を意識するのがポイントです。
3-2. 成猫(1歳~7歳)|食事バランスと体重管理が鍵
保護猫が多いのがこの年齢層。
体重維持と食べすぎ防止がテーマになります。
特に避妊・去勢後は代謝が落ちるため、低脂質・高繊維タイプを選びましょう。
にゃタゾノも避妊後に食事を変えず、半年で+1.6kg。
低脂質の「サイエンスダイエット」に切り替え、規則正しい時間で与えることで安定しました。
3-3. シニア猫(7歳以上)|消化と関節ケアを意識
代謝が落ち、腎臓・関節ケアが重要に。
良質なたんぱく質+水分補給+柔らかい粒がポイント。
カナガン・アニモンダ・ロイヤルカナン腎臓サポートなど、体調別に使い分けましょう。
シニア期の猫は、基礎代謝が下がり、腎臓・肝臓への負担も大きくなります。
そのため、たんぱく質の「量」ではなく「質」に注目していくのがコツ。
「カナガン チキン」や「アニモンダ シニア」は、グレインフリーで消化吸収が良く、筋肉を維持しながら内臓に優しい栄養バランスが特徴です。
水分摂取量も減りがちなので、ウェットフードを1日1回取り入れるのもおすすめです。
小さなころから共に暮らすのであれば、シニアになった時に困らないように、体質や性格、習性をよく見ておくのがポイントかもしれません。
4. :フード切り替えと与え方のコツ
4-1. フードの切り替えは7日かけてゆっくりと
保護猫の食事は、「急がず・焦らず・少しずつ」が合言葉。
新しいフードに替えるときは7日〜10日かけて割合を変えるのが理想です。
切り替え例:

保護猫のフード切替計画イメージ
| 日数 | 新フード | 旧フード |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 10% | 90% |
| 3〜4日目 | 40% | 60% |
| 5〜7日目 | 70% | 30% |
| 8日目以降 | 100% | 0% |
食後の便の状態・食いつき・吐き戻しの有無を観察し、問題があれば元に戻して再挑戦。
「焦らず少しずつ」が猫にとっても飼い主にとっても安心です。
消化器系が弱い子は、10日以上かけても構いません。
「焦らず、でも確実に」がポイントです。
吐き戻しがないか、食いつきの差、うんちの状態などを見ていくとよいでしょう。
切替する時には「ピュリナワン」には小分けパックもあり、チキン派なのか魚派なのかも確かめることができるかな、と思います。
4-2. 食べすぎ防止のテクニック
食欲旺盛な子には、「早食い防止ボウル」や自動給餌器を活用するのがおすすめです。
タイマー式の自動給餌器なら、飼い主がいない間も規則正しく食べられます。
また、1回の量を軽量スプーンで測り、カップではなくグラムで管理することで、
「つい多めに…」というヒューマンエラーを防げます。
4-3. ごはんの時間は“安心の合図”にする
にゃタゾノの場合、主があまりにも知識なさすぎだったので、切り替えも一気に変えてしまった失敗もありまして、「えっ?!」という反応も。
しかし、毎朝 主のご飯といっしょに器にフードを盛る、器が空っぽになったらフードを盛る、ということで「ごはん=がっつかなくれも食べることができる安心」になったことで、がっつくことがすっかり消えました。
食事の時間を一定に保つことで、猫は「この人と一緒にいるとごはんがもらえる」という安心感を学習するそうです。
これは信頼関係を深める大切な儀式でもあるかな~と思います。
5. にゃタゾノの実体験と気づき
最初から、にゃタゾノはまさに「なんでも食べる子」でした。
カリカリの種類をいきなり変えても完食、さらにはおやつの袋の音にも即反応。
しかし、どういうわけかウェットタイプはNG。みるからにおいしそうな出汁香るかのようなフードには、”ぷいっ!!”という感じでした。
おなかが減っていれば食べるのかもしれませんでしたが、そこまでウェットフードにこだわりもなかったので、カリカリを複数種類まぜて、バランスを変えたりしていました。
主としては食事も楽しめるかな、と思っていましたが、にゃタゾノは食べられたらいい、という感覚なのか、私にとってはとてもありがたい状況でした。
しかし、避妊手術後、にゃタゾノは少しずつ“幸せ太り”に。
以前より寝ている時間が増え、遊びにも反応しづらくなりました。
そこで始めたのが、
・脂質控えめフードへの切り替え
・15分の遊び時間(じゃらし・段ボール遊び)
・おやつの内容を見直し
2か月後には動きが軽くなり、毛並みもつやつやに。
「ごはんの見直し=健康の見直し」だと実感しました。
6. まとめ|食べる幸せは信頼から
保護猫にとって「ごはん」は、命をつなぐだけでなく“安心の証”です。
にゃタゾノが器の音を聞いただけで小走りしてくる姿は、私にとって最高の信頼サイン。
最後にもう一度、ポイントを振り返ります。
1️⃣ 過去の食事歴を知る
2️⃣ 栄養バランスを意識する
3️⃣ 年齢・体質に合わせて選ぶ
4️⃣ ゆっくり切り替える
5️⃣ 量をグラム単位で管理する
6️⃣ 毎日のリズムを作る
7️⃣ 「安心して食べる環境」を育てる
これから保護猫を迎える方も、すでに一緒に暮らしている方も、
“食べる幸せ”を通じて信頼を深めていけますように。

保護されたばかりでも保護元さんでおちゃめな性格をアピール
🐾 子猫(〜1歳)におすすめのフード一覧
成長期の子猫は、骨や筋肉をつくるために高たんぱく・高カロリーが基本。
消化器官がまだ未発達なため、やさしい成分構成と食べやすい粒がポイントです。
| 体質タイプ | おすすめフード名 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 活発・食欲旺盛 | ロイヤルカナン キトン | 高たんぱく・高カロリーでエネルギー補給に最適。免疫力サポート成分も豊富。 |
| 小食・お腹が弱い | ピュリナワン 子猫用 | 腸内環境を整えるプレバイオティクス配合。少量でも栄養がしっかり摂れる。 |
| 偏食気味・食べムラあり | ニュートロ ナチュラルチョイス キトン | 香りと嗜好性が高く、切り替え時にもスムーズ。自然素材で安心。 |
🐱 成猫(1〜7歳)におすすめのフード一覧
保護猫がもっとも多い年齢層。成猫期は体重管理と被毛ケア、そして腸内環境を整えることが大切です。
活動量や性格によって必要なカロリーが大きく変わる点にも注目しましょう。
| 体質タイプ | おすすめフード名 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 体重が増えやすい | ヒルズ サイエンスダイエット 室内猫用 | 低脂肪・高繊維で満腹感が持続。運動量が少ない保護猫にもおすすめ。 |
| 毛並み・毛艶を整えたい | モグニャン キャットフード | 白身魚ベースでアレルギーが出にくく、皮膚と被毛の健康をサポート。 |
| 偏食気味・食べムラあり | ニュートロ ナチュラルチョイス 室内猫用 | 自然由来の香りと食感で食欲を刺激。切り替えやすく初心者にも安心。 |
🐈 シニア猫(7歳〜)におすすめのフード一覧
年齢とともに代謝が落ち、腎臓や関節への負担が増えるシニア期。
たんぱく質と脂質のバランス、消化の良さが選び方のポイントです。
| 体質タイプ | おすすめフード名 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 腎臓ケアが必要 | ロイヤルカナン 腎臓サポート | 腎臓への負担を軽減するたんぱく質設計。老猫の定番人気。 |
| 関節が弱い・運動量が少ない | アニモンダ シニア | グルコサミン配合で関節をサポート。柔らかい粒で噛みやすい設計。 |
| 食欲が落ちている | シーバ リアルミート シニア | 香り高く、嗜好性が高い。食欲不振のときにも試す価値あり。 |
🌿 全年齢対応タイプ(体質重視の子に)
保護直後や年齢不明の猫、またはアレルギー体質の子には、全年齢対応タイプが便利。
消化吸収性や嗜好性の高さで選ぶのがポイントです。
| 体質タイプ | おすすめフード名 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 穀物アレルギーがある | カナガン チキン(グレインフリー) | 穀物不使用で消化吸収が良い。どの年齢にも合いやすく万能。 |
| ストレスを感じやすい・神経質 | シーバ デュオ やわらかミックス | 香りと食感のバリエーションが豊か。環境変化へのストレス軽減にも◎。 |
※本記事は筆者の実体験に基づき、獣医師監修サイト・メーカー公式情報(ロイヤルカナン・ピュリナワン・ヒルズなど)・日本ペットフード協会2024年統計を参考に再構成しています。最終的な食事選択は獣医師と相談のうえ行ってください。参考出典一覧
猫の好み・体質により合う合わないがあるため、まずは少量パックから試していってくださいね。


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